2022/10/12 UBIリサーチ
最近、中国のパネルメーカーの経営悪化により、6G flexible OLED生産ライン再編の可能性が高まっている。
6G OLEDラインの中でflexible OLEDラインを保有している企業は、BOEとEDO、TCL CSOT、Tianma、Visionoxがあり、このうちBOEとTCL CSOT、Visionoxの6G flexible OLEDラインが再編される見込み。
中国の各パネルラインは各地方政府の持分が高い状況であるため、中央政府や地方政府の主導のもとにライン売却が可能な仕組みだ。
すでに2020年末に大型LCDラインと酸化物TFT技術を保有していたCEC PandaがBOEに買収されており、今後、中国内のいくつかのラインは事業効率化のために全面調整されるものと見込まれる。
[Visionox]
・固安県 (Gu‘an)V2と、合肥市(Hefei)V3に15K/月と30K/月規模のG6 flexible OLEDラインを運用中であるVisionoxは、主にHonorへパネルを供給して稼働率をある程度は確保しているが、パネル価格下落により収益が保障されていない 。
・VisionoxがHonorに供給しているflexible OLED価格は20ドル半ばであるとの調べ。
・事業改編のため、合肥市はBOEにV3ラインの買収を提案しており、これをBOEで検討中である。
[TCL CSOT]
・TCL CSOTの6G flexible OLEDラインであるT4は45K/月規模で、ph-3はパイロットライン形態で稼働している。
・TCL CSOTはXiaomiにパネルを主に供給したが、最近ではパネル性能の問題とTianmaのプロモーションにより、第3四半期の稼働率は20%以下にとどまり、赤字額が広がる結果となった。これにより今後TCL CSOTは主力事業であるTV用LCD事業にさらに集中するものと見られており、T4ラインはBOEに一部または全体が売却されると予測される。
・去る8月末、Li Dongsheng会長が北京にてBOE会長とライン買収を含む内容で会合を開いたとみられ、今後BOEがB20 LTPSラインにOLED蒸着装置を追加すれば、T4ラインを買収する可能性もある。
[TCL CSOT T4 武漢市(6G)]
▪ TCL CSOTのT4ラインは45K/月規模のflexible OLED量産ラインであり、2022年第1四半期に稼働予定だったph-3の運用が、稼働率低下の問題に
よりパイロットライン形態で稼働している。
▪ 主要顧客企業はXiaomiとサムスン電子などがあり、Apple向けにプロモーションを試みたが良い結果を生み出せなかった。
▪ 2022年8月までのT4ライン月平均稼働率は29%と分析されている。
[Visionox V3 合肥市(Hefei)(6G)]
▪ 合肥市に位置するVisionoxのV3ラインはflexible OLED量産ラインで、キャパは30K。
▪ 2022年第3四半期からHonor向けのパネル量産を開始、稼働率30%/月でラインを運用中である。
▪ VisionoxはIT用に6G 縦型蒸着方式のR&Dラインを計画中であり、2022年第3四半期に装置を発注している。これは前工程装置であり、2023年第4四半期に搬入の見込み。