2018.05.25 ET news
去る20日(現地時間)から25日まで米国ロサンゼルスのコンベンションセンターで開かれた「SIDディスプレイウィーク2018」は、中国のディスプレイ産業の台頭を実感させた展示会だった。ミニLED技術をはじめとした、高度化された液晶(LCD)技術は、韓国との技術差が消えていることを示した。有機EL(OLED)、ミニLEDなどの新技術を同時に開発できることで、脅威レベルを一層高めた。
◇目立った中国企業
今年のディスプレイウィークの展示は断然、中国企業が話題だった。大型ブースで展示したBOE、Visionox、天馬は、OLEDはもちろん、ミニLEDをバックライトに使用した高性能LCDなどを前面に打ち出した。韓国がOLEDを中心に技術開発に注力する状況とは異なり、様々な新技術を同時に開発する力を実感させた。
展示会期間中に最も注目された製品に授与する、Best-in-Show賞の4つの賞のうちの3つを中国企業が占めた。LGディスプレーは野心的な77インチの透明フレキシブルOLEDを展示したが、受賞の対象にならなかった。65インチのクリスタルサウンドOLED(CSO)が「今年のディスプレイ」に選ばれたことに満足しなければなかった。サムスンディスプレイは、昨年にストレッチャブルディスプレイを展示して話題を集めたが、今年は特別に話題となるような発表は無かった。
天馬のミニLEDを光源に使用したスマートフォン用HDRディスプレイのデモ様子(写真=天馬)
天馬の6.46インチのモバイル用のHDR LCDは、Best-in-Showを受賞した。ミニLEDを適用してWQHDフルスクリーンと498ppiの解像度を実現した。Visionoxは5.99インチフレキシブルOLEDを活用したスマートカップ、スマートスピーカー、スマートジュエリーボックスなど、新しいアイデアの試作品を展示して賞を受けた。台湾のAUOはミニLEDをモニター、ノートパソコンなど、さまざまな分野に適用した試作品を披露しベストなショー選ばれた。
VisionoxがSIDディスプレイウィーク2018で公開したフレキシブルOLED適用のスマートスピーカー(写真=ET News)
チャン・ジン慶煕大碩学教授は「中国は、政府の強力な資金支援を受け、少しでも可能性のあるすべての技術に投資している」とし「特にLCDは、技術格差がほとんどないと見ても差し支えないほどの技術が成長し、今のような勢いならOLEDも数年以内に韓国に追いつくだろう」と評価した。
スタートアップ企業も展示スペースのアイゾーン(I-Zone)も中国・台湾が断然目立った。新しく優れた技術を披露したスタートアップに授与する「ベストプロトタイプ」は、上位5社のうち1位を含めて、計3つの企業が中国・台湾である。 1位を占めた、香港科学技術大学は、電気的に抑制された強誘電性液晶(FLC)ベースのアクティブフィールドシーケンシャル(field sequential color)ディスプレイパネルを250ppiに実装して認められた。2ボルトの低電圧で10マイクロ秒(㎳)レベルの高速応答速度を実現しながらも、高い発光効率、3倍以上の高解像度、高色再現などの利点を備えた。 香港の玉鳥ディスプレイはインチあたり5000個のピクセルと100万ニット(nits)の明るさを実現した能動型マイクロLEDディスプレイをデモして受賞者に選ばれた。マイクロLED技術でサムスン電子の投資を受けた台湾のプレイナイトライドもRGB画素を持つマイクロLEDを転写する独自の技術を認められ受賞した。
中国が恐ろしい勢いでディスプレイの技術力を蓄積しているが、SID集計によると、SIDに提出された論文の数は、韓国142編、中国の180編を記録した。2014年韓国71編、中国の65編であった点を考慮すれば、韓国は二倍、中国は約三倍に増えたことになる。日本は2014年91編で、今年は74編にかえって減少した。
昨年SID会長を務めたギムヨンソク弘益教授は、「中国は、企業の論文が大学の論文よりもはるかに多いが、これ基礎研究よりもすぐに企業で必要な研究を中心に行われていることを意味」とした。
シンソンテ韓国情報ディスプレイ学会(高麗大教授)は、「過去には、韓国企業がSID基調講演などのディスプレイ技術の発展方向を提示したが、ここ数年、誰も将来の方向性を正しく提示できずにいる」と指摘した。 また、「韓国企業が世界の舞台で技術の方向を積極的に提示しなければ、優れた国内外のパートナーを育成してサプライチェーンを先取りすることができるという点を知っておく必要がある」とし「大学、研究所はもちろん、企業も責任感と使命感を持って、世界ディスプレイで1位を維持するための様々な努力をしなければならない」と強調した。