LGディスプレーのApple向けのOLED製造ラインE6-1の試験稼働で、製造装置の問題が浮上


2019.06.02 ET News

 

LGディスプレーがアップルに納品するフレキシブル有機EL(OLED)を製造する坡州E6-1ラインを試験稼動している中で、試験稼働を事実上中断したことが分かった。当初はE6-1ラインで先に量産した後、E6-2を後続で稼動する予定だった。 

 

2日、業界の複数の関係者によると、LGディスプレーのE6-1ラインは、現在はパフォーマンスの問題が発生したいくつかの製造装置を改造している。このため、アップルに提供するサンプルをE6-2で作成し、量産もE6-2が最初に開始することになるものと把握される。E6-1で生産を準備していたいくつかのモデルもE6-2に移動したと伝えられた。 

 

パフォーマンスの問題が指摘された部分は、E6-1の全工程のパートだ。特に蒸着した有機物を保護する薄膜封止工程で要求水準に満たない結果が出たと思われる。現在の薄膜封止工程に使用する装置の一部を改造して性能を引き上げて、問題を改善する試みをしている。 E6-1とE6-2は、いくつかの工程で異なるメーカの製造装置が適用された。前工程で最も重要な蒸着装置は、キヤノントッキの装置を同じように使用する。

 

しかし、薄膜封止工程に対応する有機膜形成装置は、E6-1にLG電子材料・生産技術院(PRI)、E6-2の米国のカティーバのインクジェット装置がそれぞれ適用された。無機膜形成用の両方のラインは、いずれも米国のアプライドマテリアルズの装置を主に使用する。 

 

業界筋によると、LG PRI機器が性能未達の問題があったことが分かった。インクを噴射するノズルなどが生産に不適切な結果を起こしたと思われる。LGディスプレイとLG PRIが合同で問題を分析し、問題となる部分を改造している。 

 

LG PRIがフレキシブルOLED用封止装置を量産ラインに供給したのは今回が2度目だ。LGディスプレーE5ラインに供給しており、E6-1にも納品した。このほか、レーザーアニール(ELA)、フレキシブルフィルム用レーザー切断装置をLGディスプレーと海外の一部のパネル社に供給した経験がある。 

 

アップルは、自社製品を生産する工場と製品の完成度についてかなり厳しい注文をすることで有名である。生産に使用される装置の仕様とメーカーを指定することはもちろん、生産者などからの要求もある。 業界関係者は「LGディスプレイがLG PRI装置を生産ラインに適用しても安定的に生産することができるとアップル側に提案して、困難な合意を引き出したと聞いている」とし「E6-2にPRI機器の代わりにサムスンディスプレイで検証されたサードパーティ製の製品を適用したことを見れば、今後発生する複数の問題の可能性に備えたものだ」と語った。 

 

一部では、これまでLGディスプレイが無理にLG PRI装置を採用したという解釈も出ている。 LG PRIは、グループ全体の技術力の向上と購買の効率向上を目指した系列会社である。中国の天馬にELA装置を小数台輸出したが、以降、中国でこれといった成果を出せなかった。一方、LGディスプレーには主要プロセス装置を継続供給している。