ニュースイッチ 10月1日(土) ディスプレイのサプライチェーン国産化へ まずは国内で消費されるディスプレイを内製し、次に外販を狙う。中国の大型液晶の出荷台数シェアは、2016年に韓国、台湾に次いで23%になる見通しだ。20年にはこれを35%まで引き上げ、首位獲得をもくろむ。 スマートフォン向け中・小型ディスプレイ生産の拡大も計画する。現在は低価格品が中心だが、18年までに高画質なハイエンド品の生産を始める見込みだ。中国での増産を受け、韓国や台湾、日本製液晶ディスプレイの販売は鈍ってきている。 またスマホへの有機ELディスプレイの採用拡大を受け、現地メーカーも早期の参入を目指している。BOEや天馬微電子は展示会で有機ELディスプレイを披露。工場への投資にも着手した。狙うのは主に中国スマホメーカーへの採用だ。 最後のピースが製造装置 有機ELディスプレーに必要な低温ポリシリコン(LTPS)技術は、まだ成熟していないが「まずは投資しないと何も始まらない」というのが彼らの考え。設備投資と同時に技術を高めようとしている。すでにLTPSの次の段階であるガラス基板(固定式)の有機ELへ投資を始めた。2―3年後に量産を開始し、長期的には最終段階であるフレキシブル有機ELの生産を実現する計画だろう。 有機EL技術の向上に向け、人材の獲得活動も激しさを増している。大型液晶の生産ラインを立ち上げる際は日本や台湾からの人材がメインだったが、今は韓国のサムスンディスプレイやLGディスプレイのベテラン人材が対象だ。 中国の最終目標は、ディスプレイのサプライチェーンを国産化すること。ディスプレイ産業が発展すれば化学や半導体、組み立てなど他の産業も発展するからだ。その最後の要素が製造装置になる。政府は19年までの補助金で、製造装置の開発に特別枠を設けている。しかし、このタイミングまでに装置を国産化するのは難しいだろう。助成期限を後ろ倒しにする公算が大きい。中国のディスプレイ産業への積極的な投資は、当面続きそうだ。 デービッド・シエ=IHSテクノロジーシニアディレクター