中国のミッドレンジのスマートフォン市場において、LTPS LCDと有機ELとの競争が激化


2017.03.23 ET News

スマートフォン用低温ポリシリコン(LTPS)液晶表示(LCD)パネルの価格が、今年は急落すると予想される。中国のパネルメーカーが生産量を拡大するのに対し、アップルなどの主要なスマートフォンメーカーは、LCDの代わりに、有機EL(OLED)パネルを採用するからである。 


<パネルメーカー別の世界スマートフォン用LTPS LCD出荷シェア(資料:IHS)>

23日、市場調査会社IHSがソウル良才洞エルタワーで開催した「コリアディスプレイカンファレンス2017」では、今年は中国のスマートフォン用LTPS LCDが供給量が増加し、フラッグシップモデルでOLEDとの競争などで大幅な値下げ圧力を受けると予想された。

昨年、中国BOE、チャイナスター、天馬をはじめ、台湾AUOとフォックスコン、日本JDIとシャープなどの主要パネルメーカーは、中小型LTPS LCDの生産能力を増設した。IHSは今年に稼働を開始する5.5世代と第6世代LTPS LCD新規生産ラインがフル稼働すると、既存の第4.5世代から第6世代に至るまでのLTPS LCDの生産面積が昨年より40%増えると分析した。

大画面、高解像度のスマートフォンの需要が増加し、アモルファスシリコン(a-Si)LCDは、スマートフォン市場での比重が徐々に減っている。2014年には約13億台規模だったが、2016年10億台レベルに減少した。一方、LTPS LCD出荷台数は、2014年4億台前半で2016年5億台を突破した。OLEDは、同じ期間の1億6000万台で、4億万台を迫る水準に急激に成長した。

世界スマートフォン用LTPS LCDはJDI、LGディスプレー、シャープが、2015年では市場全体の80%以上を占めた。昨年、中国の天馬とBOEが参入し、これが70%水準に減少した。今年から、AppleがiPhoneのいくつかのモデルにOLEDを搭載し、需要が減るうえ、新たに参入する中国パネルメーカーが増えれば、3社の割合は、より減少する見込みである。 

中国パネルメーカーが自国プレミアムスマートフォン市場に参入するために、今年の積極的なLTPS LCDを生産する計画である。このために、これまでよりも顧客の確保は難しく、値下げ競争が激しくなるものと見られる。 中国の主要な7つのパネルメーカーでは、昨年のスマートフォン用LTPS LCDの出荷量は、前年比93%増の9600万台だ。同じ期間アモルファスシリコンLCDの出荷台数は24%増にとどまった。全体の出荷台数は、まだアモルファスシリコンが多いが、成長はLTPSがはるかに急である。 

同じ期間、韓国はLTPS LCD出荷が減り、OLEDが増加した。サムスンディスプレイが積極的に中小型OLEDを量産して、国内外のメーカーに供給したためである。 IHSのテクノロジー部門の研究員は、「中国のスマートフォンのディスプレイ市場でミッドレンジは、中国と日本がLTPS LCDに熾烈な競争をして、韓国はリジッドOLEDに取り組む形になるだろう」と予想した。また、「プレミアム市場はフルHD以上の高解像度と18対9のアスペクト比が主流に浮上し、韓国のOLEDと日本のLTPS LCDが競争を繰り広げるだろう」と予測した。 

中国の3大スマートフォンブランドであるファーウェイ(華為)、Oppo(オッポ)、Vivoを顧客に獲得しようとする競争はより激しくなるものと見られる。3つのメーカーの中国シェアは、2015年に42%、2016年55%、今年58%に増え続けると予想される。 研究員は「1位の企業Huawei社は、昨年にサムスンディスプレイからプレミアムのフレキシブルOLED十分供給されていないものと見られる」とし「代案として、日本はもちろん、韓国と中国のフレキシブルOLEDを使用する可能性もある」と付け加えた。