2016.09.28 インベスト朝鮮 サムスンが電気自動車に続き、ディスプレイでも、中国企業との「同盟」を選択した。競合のLGディスプレイはどのように対応するのかが、市場の関心事だ。従来のLCD市場では、中国企業の追撃が大きな悩みである。かといっOLEDを介して対抗する戦略は選べなかった。 LGディスプレイは「2017年下半期以降、様々な方策を検討する」という立場である。 ◆サムスン、中国ディスプレイメーカの株式投資 2015年末に、中国のディスプレイメーカーのBOEとTCLは、それぞれ10.5世代と11世代の新規設備投資を相次いで発表した。TCLグループは、設備投資に約7,000億円を投入する計画である。10世代以上の設備は、主に60インチ~70インチ以上の大型パネルの生産に最適化された設備である。 一方、韓国内メーカーは55インチパネルに最適化された第8世代の設備を主に準備してきた。 中国が投資する11世帯は、基板1枚あたり60インチパネル10枚を生産する。しかし、国内メーカーの第8世代は、4枚を生産する。将来的には60インチ以上のプレミアム市場競争の中で中国企業が有利な立場に占めることになる。 このような中国の「台頭」にサムスンが先に対応をした。 サムスンディスプレイが中国TCL 11世代LCDライン生産法人の株式9.8%を取得した。約300億円を投資して2019年から生産されるパネルの供給を受ける。競争が激しくなったLCD生産設備を減らし、モバイル向けの中小型OLEDパネルに集中してきたサムスンのディスプレイであった。サムスン電子の立場でも、プレミアムLCD製品「量子ドットTV」のためのパネルサプライチェーンなどを安定的に確保した。 単純な株式投資ではなく、技術移転などにつながる可能性も挙げられる。株式投資をサムスン電子ではなく、サムスンディスプレイがしたという理由だからだ。協力が進むと、中国企業にも利点がある。これまで大規模な設備運用の経験が少なく、歩留まりの確保に困難を経験したが、サムスンからの技術援助を受けて設備稼働率を上げることができる。 サムスンディスプレイは「サムスン電子が持分投資をすると、サムスン電子のみにパネルが供給されるが、サムスンディスプレイが株式を取得したので、他のセットメーカーにも確保したパネルを供給することができる」と明らかにした。ただし、TCLとの相互技術協力の可能性については、「現在としては計画がない」という立場である。 今後10世代以上ラインの稼動が本格化されると、プレミアムLCD市場は、生産設備を保有しているこれらの企業中心に再編される見通しである。台湾ホンファイグループ(シャープ)、BOE、TCL-サムスンディスプレイ陣営間の競争の構図が予想される。 ◆LGディスプレイ、LCD事業が苦しいために、現状の有機EL投資を継続し、さらに基板の大型化も検討する 問題は、LGディスプレイの動向である。 LGディスプレイは、これまで大型LCD部門でグローバルリーダーの地位を維持してきた。このままでは「キャッシュカウ」であるLCDの主導権を奪われる。だからといって追加投資を通じて、中国メーカーを追撃することも容易ではない。 市場の支配権が変わるので、坡州「P10」の工場の設備搬入のリスクも大きくなる。 LGディスプレーはP10工場に2018年までに約9,000億円の投資を発表した。この投資の内容としては、8世代OLED装置搬入、8世代OLEDと10世代以上のLCD並行投資、10.5世代OLED投資などの3つの可能性が浮上している。工場完成が2018年上半期に予定されている。遅くとも2017年までに具体的な戦略を提示しなければならないという声が高い。 しかし、LGディスプレーは「まだ具体的な投資の方向の最終決定が出ていない」という立場である。 OLEDへの切り替えで、テレビのプレミアム市場での主導権を握るという戦略もあるが、既存の第8世代の設備導入では、難しい。LCD供給量に対応するには、生産効率の面で取り残される。かといっ10.5世代OLED設備を導入して「対抗」するには、約3,600億円以上の投資が必要になる見通しだ。現状では、まだLCD事業の収入によってOLED部門の赤字を埋める状況である。まだOLEDテレビ市場が大きく開かれたわけでもない。 ディスプレイ業界の関係者は、「LGは競合他社の量子ドットなどLCD TVに比べてOLED TVで優れた技術力を備えていると判断している」とし「しかし、10.5世代LCDが予想より早く量産を開始する場合、既存の重要なLCD事業の主導権を渡さなければなら状況である」と指摘した。この関係者は「今まで経験した状況の中で、最も重要な意思決定を下す時期が近づいている」と述べた。 LGディスプレイの関係者は、「今後のTV面積の大型化の傾向が進むと、60インチ、70インチ市場で本格的な競争が始まるが、まだ1~2年間は第8世代ラインで十分に対応できるというのが、内部の立場」と明らかにした。また、LGディスプレイ側は「来年までに計画された投資設備の立上げに集中して、2017年下半期以降、市場の状況を見ながらP10工場内にOLED 10.5世代の追加投資を行い、さらに中国企業とのLCDサプライチェーンコラボレーションなど、さまざまな方策を検討して対応する計画だ」と明らかにした。