フラットパネルディスプレイの工場稼働率の変化、2025年第1四半期に回復


2025年2月3日 Display Daily

 

フラットパネルディスプレイメーカー各社は、2025年第1四半期の工場稼働率が回復していると報告している。これは、2024年第4四半期の減速を経た後の回復傾向である。この改善は、2024年11月にテレビやIT製品の需要が回復し始めたことに起因している。

 

TFTの四半期ごとの工場稼働率(フロントプレーン別) (出典: Counterpoint)
TFTの四半期ごとの工場稼働率(フロントプレーン別) (出典: Counterpoint)

 

Counterpoint Researchによると、2024年夏から始まった大幅な落ち込みの後、2024年末にかけて工場稼働率が回復し始めた。特に、10月の中国の長期国慶節休暇の影響で減速が加速したが、その後持ち直している。

 

2024年第3四半期(Q3)には、世界全体の工場稼働率がやや低下したものの、第4四半期(Q4)では日本を除くすべての地域で投入レベルが減少したため、さらに減少が見られた。ただし、韓国と台湾での増加は、中国での減少によって相殺された。

 

Q4 2024の減少要因と回復傾向

第4四半期の減少は、主に10月に集中しており、中国のパネルメーカーが国慶節休暇のために操業を一時停止したことが影響した。しかし、11月と12月には工場稼働率が回復し、以下の要因によって生産が増加した。

 

・中国国内の消費者需要の回復(政府の支援プログラムが影響)

・IT・テレビブランドによる在庫積み増し(関税変更を見据えた先行調達)

 

2025年第1四半期(Q1)見通し

2025年第1四半期には工場稼働率がさらに上昇し、2024年11月・12月の水準に近づくと予想される。その背景には、

 

・テレビ需要の安定

・スマートフォン市場の季節的な減速が緩やかであること

 

が挙げられる。

 

技術別の動向

・韓国はOLED生産が主流であるのに対し、他の地域ではLCDが依然として優勢。

・2024年第3四半期の減速は主にLCDラインに集中しており、OLEDはスマートフォン向け需要とOLEDテレビ販売の回復により季節的なピークを迎えていた。

・しかし、第4四半期にはOLED稼働率も大幅に低下し、特にLGディスプレイ(LGD)のOLED TVラインの生産調整が影響した。

 

それでも、OLEDの生産能力は全体のフラットパネルディスプレイ生産能力の約10%に過ぎない。

 

OLED市場の動向

・リジッドOLEDパネル(ノートPCやミドルレンジスマートフォン向け)は、2024年第2四半期以降、市場の約70%を占めるまでに成長。

・フレキシブルOLEDパネル(ハイエンドスマートフォン向け)は、依然として製品の発売時期やホリデーシーズンの影響を受ける季節的な傾向を示している。ただし、2024年はその傾向が弱まった。

 

市場の供給・需要バランス

業界全体の生産能力は依然として需要を上回っているものの、2022年~2023年と比べると供給過剰のギャップは縮小している。市場環境が不透明な中、ディスプレイメーカー各社は2025年も慎重な生産管理を継続し、供給過剰を回避すると予想される。