テレビ需要によって成長する偏光板市場、長期的には供給過剰の懸念


2024年11月7日 Display Daily

 

Omdiaによると、偏光板の世界的な需要は2024年の5億9,400万平方メートルから2027年には6億8,200万平方メートルに成長し、年平均成長率(CAGR)は3.4%になると予測されています。この成長は、大画面テレビの人気が高まり、特に大画面モデルの価格低下が拍車をかけていることに起因しています。

 

中国は2020年のShanjin Optoelectronics(杉金光电)によるLG化学のLCD偏光板事業の買収以来、偏光板生産の主要拠点として台頭してきました。Shanjin Optoelectronics、Sunnypol、HMO(鴻美光電)などの中国企業は偏光板の生産拡大に多額の投資を行っており、最近では生産能力拡張計画の遅延も供給過剰に対する懸念が続いていることを反映しています。供給過剰率は現在約10%で、2027年には19.5%に増加すると予測されています。

 

この状況により、LG化学、サムスンSDI、住友化学などの日本や韓国の企業は、偏光板事業の縮小や売却に踏み切っています。Omdiaのプリンシパルアナリスト、アイリーン・ハオ氏によると、これらの調整により2025年までは供給が安定する見込みです。しかし、遅延している中国の工場が2026年後半に生産を開始した場合、再び供給過剰の状況が再燃し、世界の偏光板市場に影響を与える可能性があります。