ソニー、0.44型フルHD OLEDマイクロディスプレイを商品化


2024年09月24日 ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社のプレスリリース

 

ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社(以下、SSS)は、業界最小※1となる5.1µm画素(約5,000ppi)と、最大10,000cd/m2の業界最高※1輝度を両立した、0.44型のフルHD解像度のOLEDマイクロディスプレイ(Organic Light-Emitting Diode Microdisplay)『ECX350F』を商品化します。

本製品は、薄型化・軽量化や高い視認性が求められるAR(拡張現実)グラスでの活用を想定したOLEDマイクロディスプレイです。本製品では、小画素化しても画素ごとの発光性能を高めるために、新設計のOLED構造とマイクロレンズを採用しました。これにより、小型の0.44型でフルHD解像度を実現するとともに、従来製品※2比約2倍となる最大10,000cd/㎡の輝度を可能にし、これまで難しいとされていた小画素化と高輝度の両立に成功しました。

 

当社はARグラスの薄型化・軽量化に加え、高精細で視認性の高い映像表現を通じ、ユーザーの体験価値向上に貢献します。

 

※1: 1ピクセルあたりRed、Green、Blueの3色フルカラーサブピクセルを保有するOLEDマイクロディスプレイにおいて。 

       2024年9月24日広報発表時点。当社調べ。

※2: 当社の『ECX348E』。

0.44型 フルHD OLEDマイクロディスプレイ
0.44型 フルHD OLEDマイクロディスプレイ

 

 <主な特長>

 ■業界最小※15.1µm画素と最大10,000cd/㎡の業界最高※1輝度の両立

OLEDマイクロディスプレイは、画素を小さくすると発光効率が下がり、画素あたりに流せる電流に制約がかかってしまうため、高輝度化が難しいといった問題がありました。

本製品では、5.1µm画素と、その画素サイズでの発光効率を最大化するマイクロレンズを製造するための半導体プロセスを新たに開発しました。さらに独自設計のOLED構造を採用することで、駆動電圧と発光効率の最適なバランスを追求し、小画素化と高輝度の両立に成功しました。

これにより、本製品は業界最小※1の5.1µm画素によるフルHD解像度の表示と、業界最高※1となる最大10,000cd/㎡の輝度による優れた視認性を実現しました。

 

■小型画素と狭額縁による外形の小型化

映像表示領域の周囲の非映像表示領域(額縁)には、駆動に必要な回路や配線が実装されていますが、従来技術では、ディスプレイデバイスとしての信頼性や、回路部分の配線幅の要求から画面表示不良といった問題が懸念され、狭額縁化は困難とされていました。本製品では、新たな回路設計と組立工程を導入することにより、これらの問題を解決し、ディスプレイ長辺の額縁を上下でそれぞれ1.14mmまで小型化しました。

画素の小型化とディスプレイの狭額縁化により、フルHDの画素数を維持しながらも従来製品※2比24%減となる短辺サイズ7.99mmを実現し、ARグラスの薄型化・軽量化に貢献します。

 

■入力解像度と表示位置の柔軟な操作をサポートする可変黒枠機能

フルHD以下の任意解像度の映像入力を受信した場合、デバイスの表示領域内の任意の位置に映像を表示することができる「可変黒枠機能」を搭載しました。

一般的にARグラスにおいて、黒表示部分では実空間が透過して視認されるため、表示映像と実空間を重ねた表示が可能です。本機能は、従来製品※2においては前段の処理側(アプリケーションプロセッサ)で黒表示部分の映像信号を生成し入力することで実現していましたが、これを本製品内で行うことで、任意で設定した解像度による表示を容易にするとともに、システムとしての低消費電力と低遅延に貢献します。