「ゼロベゼル」のiPhone、2026年の発売は不透明


2024年12月24日 The Elec

 

・サムスンディスプレイとLGディスプレイがAppleの要請を受け、ゼロベゼルOLEDを開発中

・薄膜封止(TFE)技術、OCA技術、アンテナ干渉問題など課題山積

 

ディスプレイベゼルを完全になくした「ゼロベゼル」のApple iPhoneはいつ登場するのか。Appleの要請を受け、サムスンディスプレイやLGディスプレイがゼロベゼルのiPhone向けOLEDを開発しているとされるが、その量産時期は依然として不透明だ。当初Appleは2025~2026年にゼロベゼルOLED iPhoneを発売する計画を立てていた。

 

業界関係者によると、ゼロベゼルOLED iPhoneの発売は2026年でも難しい可能性が高いという。完全なベゼルレス化に必要な技術開発がまだ十分でないためだ。

 

ある業界関係者は次のように述べている。「Appleが2026年にゼロベゼルOLED iPhoneを発売するためには、すでに国内のパネルメーカーと技術議論を終えている必要がありましたが、まだ議論の段階にあります。現時点では2026年の発売も難しいと考えられます。」

 

Appleは既存のiPhoneの平坦なディスプレイと角張ったデザインを維持しながら、ゼロベゼルディスプレイを実現したいと考えているとされる。ディスプレイを側面に流し込むようなデザインで、現在のApple Watchに採用されているディスプレイに似ているとされる。業界ではこれを「小石のような形状で実現すべき」と表現している。

 

サムスンディスプレイとLGディスプレイがAppleの要請に応じてゼロベゼルを実現するには、OLEDを水分や酸素から保護する薄膜封止(TFE)技術や、透明な両面接着フィルム(OCA)技術を、ディスプレイの側面に適応させる必要がある。また、アンテナスペースの確保や干渉問題の解決も課題だ。

 

特にOCA技術の確保が遅れているとされる。OCA工程後の側面視界の歪みが完全に解消されておらず、ディスプレイが側面に近接したデザインでは外部からの衝撃で破損しやすい問題も解決が求められる。

 

Appleの要請は、かつてSamsungのスマートフォンに採用されたカーブド(エッジ)ディスプレイとは異なる。Appleは、スマートフォンの側面にカーブドディスプレイを適用した場合に発生する「虫眼鏡効果」を嫌うとされる。このため、Xiaomiが2021年に公開した「4面カーブドウォーターフォールディスプレイ」も、Appleが求めるゼロベゼルには該当しない。

 

また、ゼロベゼルディスプレイを実現するには、既存のiPhone OLEDベゼル部分の回路をすべてディスプレイの下に折り曲げる必要があり、その際にアンテナスペースを確保し干渉問題を解決する必要がある。

 

昨年8月、K-ディスプレイビジネスフォーラムで、サムスンディスプレイの関係者は「アンダーパネルカメラ(UPC)やゼロベゼル構想の製品(OLED)を準備している」と述べた。この関係者は「ゼロベゼルを実現するには、UPCの光透過率を50%以上に高め、ピクセル構造を最適化する必要がある」と説明している。

 

カメラをディスプレイの下に隠すUPC技術とゼロベゼル技術が実現すれば、ユーザーは真のフルスクリーン体験を楽しむことができる。Appleは近年、iPhoneのディスプレイベゼルを次第に薄くしており、ユーザーの没入感を高めることを目指している。

 

中国のXiaomiは、2021年に4面ベンディングを実現したコンセプトスマートフォンを公開した。当時、Xiaomiはこの4面ベンディングを採用したコンセプト製品に「4面カーブドウォーターフォールディスプレイ(Quad Curved Waterfall Display)」という名前を付けた。(資料:Xiaomi)
中国のXiaomiは、2021年に4面ベンディングを実現したコンセプトスマートフォンを公開した。当時、Xiaomiはこの4面ベンディングを採用したコンセプト製品に「4面カーブドウォーターフォールディスプレイ(Quad Curved Waterfall Display)」という名前を付けた。(資料:Xiaomi)