2025年2月27日 The Elec
Samsung Displayは、最大5000ニットに対応する「CoE」(Color Filter on Encapsulation)方式の有機EL(OLED)をMWCで初めて公開した。
CoEは、従来のOLEDで外部光の反射を防ぐ偏光板をカラーフィルターに置き換え、一般的なPDL(Pixel Define Layer・画素定義膜)をブラックPDLに変更する技術だ。偏光板がないため光の透過率が高くなり、消費電力を抑えることができる。さらに、パネルの厚みも削減できる。Samsung Displayは、2021年にSamsung Electronicsのブック型フォルダブルスマートフォン「Galaxy Z Fold3」にCoE技術を初めて採用した。Samsung DisplayはこのCoE技術を「OCF」(On-Cell Film)と呼んでいる。
Samsung Displayは、「OCF技術を適用することで、最大画面輝度を5000ニットまで向上させた(全画素中の動作画素比率(OPR)10%基準)」とし、「これは最近発売されたフラッグシップスマートフォンの1.5倍に相当する」と説明した。また、「最高気温が50度近くに達するタベルナス砂漠のような過酷な外部環境でも、高輝度・低消費電力技術であるOCFがその真価を発揮する」と付け加えた。
Samsung DisplayはMWCで、18.1インチのフレキシブル「ブリーフケース」コンセプト製品も初めて展示した。18.1インチのフォルダブルOLEDを半分に折りたたみ、取っ手の付いたバッグのように使用できる。18.1インチはタブレット画面2枚分の大きさに相当する。「ポリゴンフォルダブル」は、3.38インチのひし形OLEDをクラムシェル型フォルダブルフォンの外部ディスプレイに採用したコンセプト製品で、レーザー加工技術を適用している。
また、OLEDタイルも展示した。6.8インチの赤(R)、緑(G)、青(B)OLED 10枚と、31.5インチの量子ドット(QD)-OLED 1枚を組み合わせた製品で、ステンドグラスをモチーフにしている。製品のサイズは横1.8m、縦0.3mで、ベゼルは市販製品よりも40%薄い0.6mmとなっている。一般的に、市販のRGB OLEDの画素密度(PPI:Pixels Per Inch)はQD-OLEDの2倍以上とされている。
Samsung Displayは、「タイルを構成する各パネルのベゼルが薄いため、画面をすべて点灯させると一つのディスプレイのように見える」とし、「各画面が順番に点灯する際に、複数のパネルで構成されていることを確認できる」と説明した。さらに、「外部配線の幅を最小化し、精密なモジュール技術を活用することで、市販製品と比較して上下左右のベゼルを40%削減した」と述べた。
Samsung Displayは「Nスクリーン体験ゾーン」(シームレスカラースタジオ)で、31.5インチのモニター用QD-OLED、14インチのノートパソコン用RGB OLED、6.2インチのスマートフォン用RGB OLEDを重ねて配置し、すべてのデバイスでPANTONEカラーの「ビバ・マゼンタ」を表現できることを展示する。どのデバイスでも同じ画質を楽しめる点を強調している。
また、Samsung DisplayはQD-OLEDモニター、OLEDノートパソコン、ゲーミングコンソールを組み合わせた「Winning Edge」ゾーンを構成。27インチ・500HzのQD-OLEDや、画素密度160PPIの27インチUHD QD-OLED、240Hz対応のOLEDノートパソコンなどを展示する。
さらに、7.2インチのフォルダブルOLEDを採用したゲーミングコンソール型コンセプト製品「Flex Gaming」、OLED搭載のゲーミングコンソール「Steam Deck」、ゲーミングノートPC「Razer Blade 16」などでゲーム体験ができる空間も用意。KRAFTONのシミュレーションゲーム『InZOI』を、視線追跡対応の裸眼3Dディスプレイ「LFD(Light Field Display)」でデモンストレーションする予定だ。