2025年1月31日 The Elec
サムスンディスプレイは、今年第1四半期の業績について慎重な見通しを示した。
サムスンディスプレイのホ・チョル副社長は、31日に行われた2024年第4四半期の業績発表後のカンファレンスコールで、「2025年第1四半期の中小型ディスプレイ事業については、2024年第4四半期に続き、スマートフォンおよびIT市場全般の需要が低迷すると予想している」と述べた。その上で「中小型事業では、主要顧客の新製品需要に積極的に対応し、販売拡大を推進する」とし、「また、大型事業では、高輝度TV用および高解像度モニター用の量子ドット(QD)-有機EL(OLED)新製品の発売を予定している」と語った。
サムスンディスプレイの中小型事業とは、スマートフォン、IT製品、車載用途向けのOLEDディスプレイを指し、全体売上の90%以上を占める。一方、大型事業であるQD-OLEDは、全体売上の5%未満にとどまっている。
2025年の年間展望
2025年の年間展望について、ホ副社長は「中小型事業に関しては、世界経済の不確実性が続く中でスマートフォン市場は停滞が予想されるが、スマートフォンにおけるOLED採用率は引き続き増加するだろう」と期待を示した。さらに、「スマートフォンOLED市場では、パネルメーカー間の競争が激化しているものの、サムスンディスプレイは低消費電力化やデザインの差別化、ラインアップの拡充を通じて、ハイエンド市場でのリーダーシップを維持する」と強調した。
また、ホ副社長は「ITおよび車載市場では、量産化の進展に伴いOLEDの拡大を加速させる」とし、「IT向け第8世代OLEDの量産準備を着実に進め、成長するIT OLED市場で優位性を確保していく」と述べた。
なお、先週LGディスプレイは「IT向け第8世代OLED市場は需要の不確実性が大きい」と発言している。IT向け第8世代OLED分野には、サムスンディスプレイとBOEが投資を進めている一方で、LGディスプレイは投資を行っていない。
サムスンディスプレイのホ・チョル副社長は、2024年第4四半期の業績について「中小型事業はスマートフォン市場の需要低迷と競争激化により、前四半期より利益が減少した」としつつも、「ITおよび車載向けディスプレイの売上は前四半期比で二桁以上増加した」と述べた。さらに、大型事業については「年末の繁忙期におけるTV販売の増加により、前四半期比で売上が二桁以上増加した」とし、「稼働率向上など生産性の改善によって業績がやや回復した」と付け加えた。
iPhone OLED市場における競争
サムスンディスプレイの営業利益の3分の2以上を占めるAppleのiPhone向けOLED市場では、LGディスプレイがサムスンディスプレイとの競争で差を縮めている。
2024年のiPhone向けOLEDパネルの年間出荷量は、約2億3,000万~2億4,000万台と推定される。そのうち、サムスンディスプレイが1億2,000万~1億3,000万台、LGディスプレイが6,000万台後半、BOEが約4,000万台を供給したとされる。LGディスプレイの出荷量は、2023年の5,180万台から1,000万台以上増加した。一方、サムスンディスプレイの出荷量は、同期間で約1,500万~2,000万台減少したと推定される。
2024年の業績と2025年の見通し
サムスンディスプレイの2024年の業績は、売上高29兆2,000億ウォン、営業利益3兆7,000億ウォンだった。年間売上が30兆ウォンを下回ったのは2016年(26兆9,300億ウォン)以来8年ぶり。また、2024年の営業利益は前年比33%減少した。
証券業界を含む業界関係者の予測では、2025年のサムスンディスプレイの営業利益は3兆ウォン台前半と見込まれている。また、2024年の設備投資額は4兆8,000億ウォンで、当初の見込みであった5兆6,000億ウォンより8,000億ウォン少なかった。
スマートフォンOLEDの差別化戦略
「今後のスマートフォンOLEDの差別化戦略」に関する質問に対し、ホ副社長は「AI機能の拡大と技術力」を強調した。
ホ副社長は「AI機能の拡大により、低消費電力の必要性が高まり、新しいフォームファクターの需要が増加するだろう」と述べ、「低消費電力技術のロードマップを策定し、バックプレーン、材料、駆動技術の改良によって消費電力の削減に取り組んでいる。また、低消費電力パネル構造を多様な製品に適用する計画だ」と説明した。
さらに、「多様なフォームファクターの需要拡大に対応するため、フォルダブルフォンの耐久性と完成度を向上させ、差別化技術を確立していく」と付け加えた。