サムスンディスプレイ、今年のモニター向けQD-OLED出荷量を50%以上拡大へ


2025年3月23日 The Elec

 

サムスンディスプレイはモニター向けの量子ドット(QD)-有機EL(OLED)パネルの出荷量を、昨年より50%以上増やす計画だと発表した。サムスンディスプレイの昨年(2024年)のモニター向けQD-OLED出荷量は143万台だった。50%増加すると214万台以上になる見込みだ。サムスンディスプレイは、「高まる消費者の需要に対応するため、供給量を増やしている」と説明した。

 

市場調査会社オムディア(Omdia)によると、全世界のモニター用OLED出荷量は、以下のように増加している。

 

・2021年:8,300台

・2022年:16万台

・2023年:82万台

・2024年:200万台

 

2024年のモニター向けOLED出荷量200万台のうち、QD-OLEDのシェアは71%(143万台)を占めた。残り29%は、主にLGディスプレイのホワイト(W)-OLEDで構成され、ファインメタルマスク(FMM)を使用したRGB方式OLEDの割合はごくわずかだった。

 

サムスンディスプレイは2025年に27インチUHD(3840×2160)QD-OLEDをリリースした。この製品の画素密度は160PPI(Pixel Per Inch)で、自発光ゲーミングモニターの中で最も高いレベルとなる。また、リフレッシュレート500Hzに対応する27インチQHD(2560×1440)のQD-OLEDも、2025年上半期中に発売予定だ。

 

Samsung Displayの27インチ、31.5インチ、34インチ、49インチのQD-OLEDを搭載した最新のモニター製品 (出典=Samsung Display)
Samsung Displayの27インチ、31.5インチ、34インチ、49インチのQD-OLEDを搭載した最新のモニター製品 (出典=Samsung Display)

 

サムスンディスプレイは、今後、一般消費者向けと企業向けの両市場で製品ラインナップを拡大する計画であると発表した。

 

まず、ゲーミングモニター分野では、これまでのハイエンドモデルに加え、中・低価格帯市場にも参入する予定だ。また、コンテンツ視聴や仕事用途に適した一般消費者向けの製品も準備している。一方、企業向け市場では、放送・映画制作、医療、設計、デザイン、金融などの業界をターゲットとし、主要顧客と発売時期の調整を進めている。

 

ディスプレイ業界では、国内パネルメーカーがモニター向けOLEDラインナップの拡大を図るとの見方が強まっている。これは、中国メーカーによる超大型液晶ディスプレイ(LCD)テレビの低価格攻勢が続く中で、OLEDテレビが価格面で対抗することが難しいためだ。

 

さらに、OLEDはリフレッシュレート(画面周波数)や色再現率などの性能面でLCDよりも優位性を持っていることに加え、モニター向けOLEDはテレビ向けOLEDよりも収益性が高いという特長がある。

 

サムスンディスプレイの大画面ディスプレイ事業部 戦略マーケティングチーム長であるチョン・ヨンウク(鄭容旭)常務は、「QD-OLEDの差別化された画質と技術的優位性により、モニター市場ではLCDからOLEDへの移行がさらに加速するだろう」と述べた。