2024年11月21日 OLED Info
アプライド・マテリアルズは、「MAX OLED」とブランド化された技術を発表しました。この技術は、大型ガラス基板でのOLEDディスプレイ製造を可能にし、テレビやITディスプレイのコスト効率の高い生産を目指すものです。同社は新しいOLEDピクセルアーキテクチャを開発・特許取得し、「劇的に異なる製造アプローチ」を採用したと述べています。これにより、より明るく、クリアで、省エネかつ長寿命のディスプレイが実現します。
MAX OLEDシステムの特徴
アプライド・マテリアルズの新しいMAX OLEDシステムは、第6世代基板から第8世代基板まで対応可能で、新たなIT向けOLED製造ラインに適応しています。同社によれば、この新技術は顧客から大きな関心を集めており、すでに複数の主要ディスプレイメーカーからリピートオーダーを獲得しています。特に、Samsung Display(SDC)向けには、AMOLEDやQD-OLED製造技術のための新しい生産技術をテストするR&Dシステムを提供すると発表しました。
新技術の詳細
アプライド・マテリアルズは、新しいピクセル構造や蒸着技術の詳細をあまり公開していませんが、各ピクセルを個別にマスクレスで蒸着・封止する特別なプロセスを採用していると説明しています。このプロセスにより、FMM(ファインメタルマスク)蒸着と比較してOLEDディスプレイの開口率を2倍以上に拡大でき、次のような性能向上が期待されます:
輝度:3倍向上
消費電力:30%削減
寿命:5倍延長
画素密度:最大2.5倍増加(最大2,000PPIを達成可能)
マスクレスOLED製造の競争
アプライド・マテリアルズ以外にも、マスクレスOLED製造技術を開発する企業が複数存在します。数年前には、Japan Display(JDI)がリソグラフィ技術を基盤とした「eLEAP」技術を発表しました。eLEAPディスプレイは、FMM OLEDの2倍以上の60%開口率を達成し、効率と輝度が2倍、寿命が3倍に向上する技術です。この技術も第8世代基板に対応可能です。
2022年には、Samsung DisplayがJDIのeLEAP技術に関心を示していると報じられましたが、現在ではアプライドの技術を採用したようです。今年初め、Samsung DisplayはOrthogonalのマスクレスOLED製造特許を取得しており、技術選定の動向が注目されています。
その他、VisionoxやSEL(半導体エネルギー研究所)もマスクレスOLED製造技術を開発中です。
業界への影響
マスクレスOLED製造技術は、性能の劇的な向上に加えて、コスト削減も実現する可能性があり、業界における重要なトレンドとなっています。初のマスクレスOLEDディスプレイは2025年初頭に市場に投入される見込みです。