2025年1月14日 The Elec
UTG・ヒンジなど主要部品の仕様・供給業者が未確定
「来年発売を目指すなら今年後半には決定する必要あり」
アップルと部品メーカー間の主導権争いにも注目
アップルの折りたたみ式デバイスにおける部品供給網はいつ明らかになるのか。既に国内外の多数の部品メーカーがアップルと接触しているものの、折りたたみ製品の重要部品である超薄型ガラス(UTG)やヒンジの供給業者は依然として不透明なままです。
複数の部品業界関係者によると、アップルは現在も国内外の部品メーカーとUTGやヒンジなどの折りたたみ製品部品供給に関して協議を進めているとされています。アップルは2026年下半期に初の折りたたみ製品を発売する計画ですが、主要な部品供給網はまだ確定しておらず、一部の部品仕様も決定されていません。
UTGとヒンジ:折りたたみ製品の特徴
折りたたみ製品が従来のバータイプスマートフォンと最も異なる点は、UTG(カバーウィンドウ)やヒンジなどの構造です。
アップルは折りたたみパネルが曲がる中央部分だけを薄くエッチングしたUTGを好むとされています。ある業界関係者は「アップルが出願したUTG特許は、基本的に中央部分を薄くエッチングするコンセプト技術が多い」と述べています。
中央部分だけを薄くすることで、全体的にUTGを厚くし、製品の耐久性を向上させることが可能ですが、薄くエッチングされた部分に充填材を用い、折りたたみのストレスに耐えつつ、光学特性を他のUTG領域と同じように実現するのは難題です。
サムスンとの技術比較
サムスン電子の折りたたみスマートフォンは、中央部分だけを薄くエッチングしたUTGをまだ採用していません。今年発売予定のモデルも従来どおり平坦なUTGを使用するとされています。しかし、サムスンも関連技術を開発中で、アップルの動向を注視しています。アップルが中央部分を薄くエッチングしたUTGを採用すると確定した場合、サムスンもその技術を自社の折りたたみ製品に適用するためです。
主要供給候補企業と技術特許
アップルのUTG供給候補として名前が挙がる企業には、サムスンの折りたたみスマートフォン用UTGガラス原材料を供給するショットやコーニング、UTGの加工を担当する韓国のドウインシス(Dowooinsys)やイコニ(eCONY)、まだ量産実績のないユティアイなどが含まれます。
ドウインシスは昨年10月、中央部分だけを薄くエッチングするUTG特許2件(登録番号2714615・2714616)を登録しました。この特許は、2023年3月に出願され、わずか7か月で登録されました。同社が特許登録を急いだと見られます。
ヒンジの供給と影響
ヒンジ供給業者もまだ確定していません。アップルと接触中の国内外のヒンジメーカーや金属射出成形(MIM)企業も複数あります。MIMはヒンジ製造の重要な工程であり、代表的なMIM企業であるジアン(Gian)はアップルの既存供給網に含まれています。
アップルが採用するUTGの形態、パネル下部の支持部(バックプレート)、ヒンジ構造のすべてが相互に影響を与えます。
供給網の確定時期と今後の見通し
業界関係者の見解では、アップルが2026年下半期に折りたたみ製品を発売するためには、2025年後半、遅くとも第3四半期には供給網を具体化する必要があるとされています。一部の関係者は「今年秋にも供給網が確定しなければ、2026年末の発売は困難になる可能性がある」と述べ、さらに「折りたたみスマートフォン市場の今年・来年の低調な見通しが変数になる」と指摘しました。
アップルは昨年下半期、国内部品業界と折りたたみプロジェクトの秘密保持契約(NDA)を締結しました。この際、アップルの初年度の折りたたみ製品の生産台数は約1500万台と推定されていました。